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書評・読書ログ:知的生活について:P.G.ハマトン&渡部昇一

Veronika AndrewsによるPixabayからの画像

自分の人生を考えた時に、いくつになっても、知的な生活を過ごしたい。自分は何かを学ぶということ自体が好きなので、これからはそのような活動に自分の時間を費やしたいと思っていました。

その「知的生活」という言葉の響きに魅せられて、P.G.ハマトンと渡部昇一の本を読んでみました。

新版 ハマトンの知的生活

新版 ハマトンの知的生活

P.G.ハマトン(著)、渡部昇一、下谷和幸(訳)、三笠書房

今から150年ほど前に、イギリスの著述家ハマトンが書いた本です。

知的生活を送るための具体的なアドバイスが書かれています。

当時と今日では社会環境が変わってきていますが、その中でも普遍的なアドバイスが書かれていると思います。

まずは、自分が心のうちであるものを知りたいと感じたら、それを知ることはおそらく自分にとってためになるので、自分に興味を起こさせるもの、それが自分にとって大切なものになります。そのようなことが研究対象になり、それを日々楽しく、入念に愛情を持って隅々まで研究するべきだそうです。

われわれは第一に仕事が進捗していくことを楽しむべきであって、仕事が終わることばかり心待ちにすべきではないというアドバイスは、日々何かを終えることが気がかりになっている自分にとっては、肝に銘じるべきだと考えています。

知的生活の方法

知的生活の方法

渡部昇一(著)、講談社

著者がこの本を書いたのは、ハマトンの「知的生活」に啓発を受けたからでした。

著者によると、本を読んだり物を書いたりする時間が生活の中に大きな比重を占める人たち、このような人たちが知的生活についての本を必要としています。

また、著者の理想としている生活は、仏事の余暇には、本を読み、考え、客があれば碁を打っている山の中の坊さんのような生活だそうです。

本書でいくつか知的生活を送るための方法を述べていますが、その中で私が特に印象に残ったのは、本は繰り返して読むものということです。

繰り返して読むということの意味は、注意が内容の細かいところ、おもしろい叙述の仕方にだんだん及んでいくことになるので、これはおそらく読書の質を高めるための必須の条件であり、文体の質とか、文章に現れたものの背後にある理念のようなものを感じ取れるようになるには、どうしても再読、三読、四読、五読、六読しなければならないそうです。

古典と呼ばれる本は、何度も何度も読み返され、時代を経ている内に残った本なので、二、三年前に読んでおもしろかったと思うものを読み直し、おもしろかったものだけをとっておき、また来年か再来年に読み返してみると、自分自身の古典ができるようです。

これまでは、できるだけたくさんの本を読みたいと思っていましたが、自分自身の古典を作っていくような読み方も必要だろうと思いました。

知的生活を求めて

知的生活を求めて

渡部昇一(著)、講談社

英語学者である著者らしく、英語学習についての見解を述べています。

英会話を重視する今日の学習方法では英語力が落ちると危惧しています。

英文法をしっかりと学習することで、まずは英語の文章を正確に読むことができるようになり、英語の論理的展開をつかむことができます。そして、英作文の学習で、文法的構造のしっかりした叙述文が書けるようになるそうです。

一方で、英会話が上達する正道は唯一つで、日本語の素養がない人たちが英語を話す環境に身をおくことしかないようです。

たしかに、読み書きする能力と聞く話す能力は別々のもののように思えますので、それぞれを鍛えておく必要があるのでしょう。私の経験からも、実社会で英会話の能力は重要ですが、英語の文章を読み書きする能力も同じように要求されているように思います。

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