過去にこれまで読んできた本、特に小説について、読んだ当時に書き留めたことなどをもとに改めて一言ずつ書いてみます。
一万円選書 岩田徹(著)
北海道の小さな書店店主である著者が、話題の選書サービス「一万円選書」について語る。
自分が読む本を選ぶことは、実はなかなかむずかしい。
これまでは、ベストセラーや書評などで紹介された本、また本屋で目に止まった本などを選んで読んでいるが、自分が出会っていない本は数限りなくある。
そんな中で、ある程度自分のことをわかってくれている人がおすすめしてくれる本は、読んでみたいと思う。
このような選書サービスがもっとあっていいと思うが、コストが掛かったり、いろんなリスクを考えると、ビジネスとしてはなかなか提供しづらいのかもしれない。
九年前の祈り 小野正嗣(著)
主人公は、知的障害があると思われる息子と実家で暮らすシングルマザー。
九年前に行ったカナダ旅行で同行した女性とその息子との関係が、主人公の今の先の見えない状況と重なり合うようだ。
カナダ旅行の思い出で女性が教会で祈る場面があるが、人は祈ることによって悲しみから少しは前に進むことができるのだろうか。
世界の地域問題100 漆原 和子、藤塚 吉浩他(編)
地球温暖化などのグローバルな問題から、ロヒンギャ難民などの世界の各地域の問題を解説した本。
問題を解説するのに地図が使われているが、単なる地図ではなくいろんな統計値を地図上に表現しているのが、興味深かった。
世界の地域問題には知らなかったことも多く、例えばオーストラリア西部では、Fly-in-Fly-out、FIFOと呼ばれる飛行機通勤があるらしく、驚いた。
カーテンコール 加納朋子(著)
それぞれに問題を抱えた女子大生たちが、学園長と寮生活をしながら卒業していく物語。
問題のために将来が見えない女の子たちが、周りの人たちに支えられながらなんとか前を向こうとする。
人は人の助けがないと生きられないのだから、本当にどうにもならなくなる前に助けを求めることが必要だと改めて考えさせられる。
そして、その助けは家族以外の場合もある。
田村はまだか 朝倉かすみ(著)
小学校の同窓会の3次会で、5人の男女が田村という男性が来るのを待ちながら、スナックのマスターも交えて、それぞれの過去を振り返る。
当たり前だが、人はそれぞれ色んな経験をしながら生きている。
生きるということは、そのこと自体がすごいことなのかもしれない。
図書館の神様 瀬尾まいこ(著)
高校の文芸部顧問となった女性教師とたった一人の部員である男子高校生。
体育会系で正しいことにこだわっていた女性が、文芸部の活動などを通して、気持ちが変化していく。
男子高校生がとてもクールなので、女性教師とのやり取りが面白い。
人は経験を通して、少しずつでも変わっていくことができるのだろう。