これまで読んできた本について、読んだあとに書き留めたことなどをもとに改めて一言ずつ書いてみます。
はじめての沖縄 岸政彦(著)
沖縄を研究している社会学者である著者が、研究者としてではなく、少し自由に沖縄について書いた本。
内地の人間である著者が、若い頃にはじめて沖縄に出会って沖縄に恋い焦がれてしまう、いわゆる沖縄病になった頃に遡って個人的や体験や考えを書いている。
私自身も沖縄に旅行に行ってから軽い沖縄病になっているので、ところどころ思い当たることもあった。
川釣り 井伏鱒二(著)
著者がいろんな山や川へ釣りに行った話など釣りにまつわる短編集。
著者がたくさん魚を釣る話ばかりではなく、釣れない話もあり、そちらのほうが多いくらいだ。
しかし、魚を釣ることだけではなく、釣り場に行くまでの山や川の様子や、釣り道具やエサの準備をしているところも釣りの楽しさだと思わされる。
また様々な釣り名人などが登場して、釣りにかかわる人たちのおもしろさも感じる。
絵巻で読む方丈記 田中幸江(著)
鴨長明の方丈記の本文全文が後世に制作された絵巻とともに掲載され、現代語訳と注釈が付されている。
絵とともに本文を読むと、当時の様子がとても良く分かる。
今まで方丈記を読んだことはなかったので、とても勉強になった。
いつの時代でも、人にとっての理想的な終の住処は同じなのかもしれない。
地魚の文化誌 太田雅士(著)
大阪湾周辺で獲れる地魚について解説した本。
大阪湾周辺の魚は汚れた海で育った魚というイメージがあったが、実は豊かな海で育った魚たちで、とても美味しいらしい。
少量だが多くの種類の魚が今も獲れているらしいが、一般のスーパーなどの流通にはなかなか見られない。
時には、地魚に触れられる場所を訪れたいと思う。
生きるぼくら 原田マハ(著)
ひきこもりだった主人公が、蓼科でひとりで住んでいる祖母と一緒に暮らし始める。
祖母の田んぼで米を作ることになるが、昔ながらの作り方なので、とても手間ヒマかかる。
でもそうやって育てた米の成長を見ながら、主人公も変わっていく。
人はいくつになっても変わることができる。
そして、周りの人たちにも目を向けることができるのだろう。
江戸の怪談がいかにして歌舞伎と落語の名作となったか 櫻庭由紀子(著)
我々がよく知っている四谷怪談など江戸時代に流行った怪談と、それを演じた歌舞伎などの内容について解説している本。
怪談としてのストーリーは、とても複雑で人間関係や話の肝である因果因縁については、なぜこの人が殺されたり、恨まれたりするのか、よくわからなくなってくる。
でもこのような理不尽なところが、怪談の魅力でもあるのだろう。