これまで読んできた本について、読んだあとに書き留めたことなどをもとに改めて一言ずつ書いてみます。
戦場のコックたち 深緑野分(著)
第二次世界大戦で戦場に赴いた若いアメリカ兵たちの物語。
平和な世界とは異なる戦場では、通常とは全く違う精神状態になる。
そんな中である意味深い絆で兵士たちが結ばれるのは、当たり前のことなのだろう。
しかし、戦争にはどんな理屈をつけても、そこに正義はなく野蛮な行為なのは間違いない。
アリさんとキリギリス 細谷功(著)
イソップ寓話では、怠け者とされているキリギリスだが、楽しく働き自由に生きるためにはキリギリスのような思考法が必要だと著者は説く。
会社のようにある一定の価値観の組織では、アリのような思考や態度が望まれるが、新しいものを創り出すにはキリギリスのような価値観が必要だというのは納得だ。
ただし、世の中にはどちらかだけではなく、アリもキリギリスもどちらも必要なのだろう。
ループ・オブ・ザ・コード 荻堂顕(著)
国際機関によって作り変えられた国で、子どもたちが原因不明の奇病を発症し、主人公はその原因調査に乗り出す。
ある国がその歴史や文化をなかったことにされてしまうのだが、これは自分たちのアイデンティティに関わる問題だ。
人には自分のルーツや周りの人たちとの関わりが、生きていく上では大切だ。
また、国や民族の歴史や文化に優劣はないという認識が重要であることを改めて思った。
メインテーマは殺人 アンソニー・ホロヴィッツ(著)
自分の葬儀を手配したその日に、その老婦人が殺される。
作家の私と元刑事がこの事件を解いていく。
謎解きのための手がかりが、いろんなところに散りばめられているのだが、読んでいるときはなかなか気づかない。
そして、それらがきっちりと最後には回収されていくところは見事だ。
深夜特急 第一便 黄金宮殿 沢木耕太郎(著)
著者が一人で香港やマカオなど東南アジアの街に滞在しながら旅をする。
それぞれの街で何日か歩き回り、その街の食べ物を味わい、そして人とふれあう。
旅をするというのは、本来そういうことなのだろう。
著者は香港がとても気に入り、何週間も滞在するが、その他の街では香港ほどの刺激を受けなかったようだ。
ただし、著者も記していたが、その他の街と比べるのではなく、その街そのものを楽しむほうが旅の醍醐味だろう。
我々はどこから来て、今どこにいるのか?(上) エマニュエル・トッド(著)
副題の「アングロサクソンがなぜ世界の覇権を握ったか」という謎について解き明かしている。
自分でもなぜなのかとても関心があったので、興味深く読んだ。
著者によれば、核家族という形態が大きく影響しており、核家族自体は決して近代的なものではなく最も原始的な家族形態らしい。
核家族は移動性を持ち、古い価値や規範にとらわれないところが近代化に寄与しているらしい。