これまで読んできた本について、読んだあとに書き留めたことなどをもとに改めて一言ずつ書いてみます。
第一阿房列車 内田百閒(著)
百閒先生が、弟子のような「ヒマラヤ山系」君といっしょに、用事がないけれど汽車に乗って旅に出る。
自由な百閒先生の個性がいたるところで発揮されて、特別なことは起こらないが、まさに珍道中と言える。
先生の言動がおかしく、また先生と山系君の会話もかみ合っているのかよくわからないところがおもしろい。
この本を読むと、自由気ままな旅をしてみたくなる。
口訳古事記 町田康(著)
物語の中のすべての会話が河内弁でなされているので、話し手の感情が読み取りやすい。
著者の想像によるところが大きいと思うが、こんな風な会話がなされていたのだろうと思わせる。
古事記の現代語訳で物語のあらすじは知っていたが、その物語にまた違った彩りが添えられた感じだ。
沈黙 遠藤周作(著)
キリスト教禁制の時代に日本にやってきたポルトガルの司祭が、様々な試練を経ながらも棄教するまでを描く。
神とは何か。日本人の信ずるものは何か。
信ずることと行いは一致するべきなのか。
様々なことを考えさせられる小説だった。
デカメロン ボッカッチョ(著)
若い男女10人が集まり、100の物語が語られる。
中世の西洋における物語だが、宗教的ではなく、男女の仲やいたずらも混じえた世俗的な物語なので、おもしろく読むことができる。
いつの世でも人々が素晴らしいと思ったり、おもしろいと感じる話は同じだなと思う。
プロダイバーのウニ駆除クエスト 中村拓朗(著)
海底の岩場から魚や海藻などがなくなる磯焼けと呼ばれる現象を起こさないために、著者が奮闘する。
磯焼けの原因はウニが増えたためと考えられていたが、著者が調査をしていくと環境によって様々な要因があるようだ。
ちなみに、美味しいウニはたくさんの海藻を食べて育っているためのようだ。
これまでの経済で無視されてきた数々のアイデアの話 カトリーン・キラス=マルサル(著)
すばらしい発明やイノベーションと思われるものでも、すぐに世の中に受け入れられるわけではないようだ。
男らしさ、女らしさという考え方が、時には便利だと思われるものでも、世に広がることを妨害してしまうことを、著者が様々な事例を上げて説明している。
確かに女性からの視点などジェンダーの視点が、これまでの経済を考える上でおろそかにされてきたように思う。