これまで読んできた本について、読んだあとに書き留めたことなどをもとに改めて一言ずつ書いてみます。
日本の動物絵画史 金子信久(著)
日本には様々な動物絵画があるらしい。
確かに写実的な絵画だけではなく、鳥獣戯画のようなマンガっぽい絵まで多彩だ。
画家と呼ばれる人たちだけではなく、様々な人たちが動物の絵を描いているほど身近な存在なのだろう。
また動物の心を描写したような絵もあり、アニメやマンガに通じるところがあるように思う。
動物を可愛く表現するのが日本らしいところのようだ。
熱帯 森見登美彦(著)
物語の中に物語が何重にもあるようで、本の中で迷子になってしまった。
まさに本の中で紹介されている「千一夜物語」のようで、そちらも読みたくなった。
物語の持っている力や、それらを紡ぐことの不思議さを思う。
人が物語に惹かれる理由は何なのだろう?
武士道 新渡戸稲造(著)
武士階級が守るべき道である武士道は、日本人が長い間大切にしてきた価値観だ。
武士道に明確な教義や聖典があるわけではないが、現代の日本人でもおおよそのことは理解していると思う。
その武士道について説明をしている本書は、現代の日本人である我々が今読んでもうなずけることばかりだ。
その中でも特に「義」という正義の心については、今の世の中でもいちばん大切なことだと思う。
ベルリンは晴れているか 深緑野分(著)
第二次大戦前後のベルリンに住む少女の物語。
ナチス配下のドイツや終戦直後の連合国占領の様子が描かれているが、そこに住む人々にとってはとても過酷だ。
そんな中では人々は普通の感覚では暮らせない。
人の弱さや憎しみの連鎖ということを考えさせられる。
平安人の心で源氏物語を読む 山本淳子(著)
源氏物語がなぜ作られたのか。紫式部は何を伝えたかったのか。人々は源氏物語の何に惹きつけられたのか。
それらを著者が平安時代の人々の思いと考え方をベースにして考察している。
男女の仲に関する心情は今と変わらないところが多いと思うが、社会通念などは現代人の我々とは異なるところが多々ある。
当時の時代背景などを理解することにより、より深く読み取ることができるのだと思う。
ちなみにこれまで源氏物語を読んだことはなかったが、本書ですべての帖のあらすじが説明されていたので、物語の概要を知ることができた。
千一夜物語(一) 豊島与志雄 他(訳)
イスラム世界の民話や伝説が集められている。
大臣の娘が王様に夜ごと千一夜にわたって様々な物語を話す形式になっている。
次から次へと興味深い話が続き、次の夜も続きが聞きたくなるような仕掛けだ。
世の中には、よくもこれだけ不思議な話があるものだと思う。