これまで読んできた本について、読んだあとに書き留めたことなどをもとに改めて一言ずつ書いてみます。
ブラックペアン1988 海堂尊(著)
大学病院での権力争いなどが描かれている小説。
物語として楽しめるが、一方で外科医療というものが職人の世界であることに、医療を受ける側としては少し不安を覚える。
医療に属人的なところがあるのは仕方ないと思う反面、一定の技量を身につければ誰でも可能な医療になれば、多くの人たちが救われるのだろうと思う。
組織不正はいつも正しい 中原翔(著)
組織不正の要因について考察している。
燃費計測や品質管理における不正や不正会計などのほとんどは、不正をしようとして組織不正が行われているわけではない。
組織に与えられた目標をどうしても達成するために、現場が正しいと期待されている方法ではないやり方をしてしまうのが実情のようだ。
現場のやり方を非難するよりも、そもそもの目標や期待されているやり方を見直すことが重要だと思われる。
冷たい校舎の時は止まる 辻村深月(著)
学園ミステリーと言っても単純な犯人探しの物語ではない。
新任教師とあるクラスの仲間たちのそれぞれの生い立ちや過去の出来事が複雑に絡み合っていて、何気なく読んでいたところを改めて読み返したりして納得した。
また10代のとても繊細な心情がていねいに描かれていて、いじめや自殺の問題も考えさせられた。
日本の医療知られざる変革者たち 海堂尊(著)
日本の医療で画期的な変革をしてきた人たちを紹介している。
医療技術が進歩していく中で新しい技術だけではなく、医療の環境や考え方にもいろんな変革がなされていることがわかる。
日本の医療の現場で闘っているこのような人たちの志には感服するばかりだ。
言葉を離れる 横尾忠則(著)
筆者の読書に関するエッセイ集。
自分の子供の頃から現在に至るまでの経歴に沿って書かれているので、筆者がどのようなことをしてきた人なのかを改めて知ることができた。
画家以外にも様々なことを手掛けてきたことには驚いた。
また、絵は言葉を使わない表現方法なので、絵を言葉で解釈しないほうがよいのかもしれない。
王墓の謎 河野一隆(著)
本書は、「王墓はなぜ築かれたのか?」という疑問がテーマになっている。
これまでは、王がとても大きな権力を持っていたから築かれたという説が一般的だが、著者はそこに疑問を投げかけている。
今まであまり疑問に思わなかったが、確かに人々は本当にそれだけの理由で築いたのか、自分がその立場になると、そのモチベーションに疑問が残る。