2010年前後頃から読んできた本、特に小説について、読んだ当時に書き留めたことなどをもとに改めて一言ずつ書いてみます。
マーチ家の父 もうひとつの若草物語 ジェラルディン・ブルックス(著)
「若草物語」では、ほとんど出てこない父の物語。
北軍の従軍牧師として参戦し、若い頃に出会った奴隷女性クレイスとの再会。
様々な戦争体験により良心の呵責に悩む。
妻マーミーと四人の娘との関係にも微妙な感情があり、素直になれない所がある。
マーミーも献身的な妻ではなく、本音が描かれていてとてもこわい。
現実的で、人間の泥臭いところが描かれている。
ボクは坊さん 白川密成(著)
高野山大学卒業後、若くして四国八十八ヶ所霊場栄福寺の住職を継ぐことになったお坊さんのエッセイ・青春日記。
仏教について自分なりに解釈していろいろと語っている。
確かに仏教(宗教)は生活していく上での道具だとも思う。
また、それは自分が信じている考え方に通ずると思う。
100均フリーダム 内海慶一(著)
爆笑である。100均の得体の知れない商品に対して秀逸なコメント。
とにかく意味不明な商品が多い。
しかし、嫁さんに言わせると、かわいい商品が多いそうだ。
男は理屈で考えるから理解できないが、感性で見ればそれぞれとても魅力的な商品なのかもしれない。
日本辺境論 内田樹(著)
日本は世界の中心ではなく辺境にある。
そのため、中心からやって来る文化をいかに自分たちに合うように取り込むかがとてもうまい。
でも、常に受け身であるので、自ら世界標準をつくることには不得手である。
確かにすごく納得できる論理だと思う。
裁判百年史ものがたり 夏樹静子(著)
日本の特記すべき裁判についてのあらましが描かれている。
どちらかに片寄らない書き方なので、中立公正に読める。
正義が勝ったと思うのは、大津事件と翼賛選挙。
公正だと思うのは、松川事件、八海事件。
問題だと思うのは、大道事件。
いずれにしても、人が人を裁くのはむずかしいことだ。
鷲は舞い降りた ジャック・ヒギンズ(著)
ドイツ軍によるチャーチル誘拐計画の冒険小説。
クルトシュタイナ中佐は、カッコイイ歴戦の勇士。
リーアムデブリンは、IRAの兵士でニヒルな男。
用意周到な計画だったが、一兵士が子供が溺れそうになったところを助けたために計画がばれた。
それでも計画を実行しようとする男たちにしびれる。