沖縄への短い帰還
池澤夏樹(著)、ボーダーインク
沖縄に旅行に行ったときに、沖縄の書店で手に入れた本です。旅行でよく行く沖縄のことをもっと知りたいと思い、沖縄に関連する本のコーナーで見つけました。
著者は北海道出身ですが、1994年から10年間ほど沖縄に住んでいたことがあり、その頃に書いてきたエッセーや書評、インタビューや講演の記録など沖縄に関するものがまとめられた本です。
著者は沖縄には単純に憧れて移住したようですが、沖縄に住んでもナイチャー(内地人)であることには変わりなく、ウチナーンチュ(沖縄人)になれるわけではないので、半端な立ち位置でしたが、それが結果として好都合だったと述べています。沖縄での著者の身分は、「勝手に特派員」であり、「帰りそびれた観光客」でもあると思っていたそうです。前者の身分では、沖縄が直面している問題を内地のメディアにレポートとして書いていたようです。後者では、沖縄の文化や風俗、食べ物や芸能などその他諸々をじっくりと楽しんだようです。
私も沖縄が好きで沖縄に住むことができたらと憧れたりしますが、観光旅行で沖縄に滞在することと、沖縄に住んで生活をすることとは違うだろうなとは思っていました。実際に県外から移住した著者の書いたものを読んでみると、具体的な沖縄での生活がわかり、なんでもそうですが、物事かならず良い面と悪い面と両面あるように、沖縄での生活も私自身が想定してなかったようなこともあるようです。例えば、どこに移住するにも地域に溶け込む努力が要りますし、特に田舎であれば交流が密なのでなかなか忙しいようです。また、自然もまだまだ残っていますから、台風やハブ、はたまた様々な虫などともお付き合いが必要です。
今のところは沖縄に移住しようとは思わないですが、それでも沖縄に憧れる気持ちは変わらないので、もっと沖縄のことを知りたいという欲求はあります。そういう意味では、この本は沖縄県外の人からの視点で書かれているので、私のようなナイチャーが沖縄を理解するためにはとても参考になる本だと思います。