2010年前後頃から読んできた本、特に小説について、読んだ当時に書き留めたことなどをもとに改めて一言ずつ書いてみます。
新訳 チェーホフ短篇集 チェーホフ(著)、沼野充義(訳)
ブラックユーモア小説。ロシア独特のブルーな世界だ。
階級社会や貧困などロシア革命以前の社会が描かれている。
封建的、差別的、子供が主人公だったり、老人やどこにでもいそうな普通の人が滑稽な姿で、とてもロシアらしいという感じがする。
ラストチャイルド ジョン・ハート(著)、東野さやか(訳)
少年ジョニー・メモリンが失踪した双子の妹を捜す物語。
刑事ハントや母キャサリンが苦悩しながら生きている。
やはりミステリーのお約束として最後に驚く結末だが、フリーマントルという理屈では説明つかない男の言動が鍵となってくる。
なんだか神秘的な面もある物語だ。
龍馬史 磯田道史(著)
坂本龍馬の生涯を手紙などの文献から読み解いた本。
龍馬の性格や暗殺の真相について丹念に説明されている。
意外と子供っぽいところや策略家の面があって人間くさい。
やはり幕府によって暗殺されたようだ。
今まで龍馬の役割がよくわからなかったが、この本でどんなことをしてきた人なのか分かった。
KITANO par KITANO ミシェル・テマン(著)
北野武をフランス人がインタビューした手記。
たけしの過去からの心情を告白したことが書かれている。
たけしの人間像を理解する手がかりになりそうだが、たけしという人間はよくわからないというのが実感だ。
たけしのお笑いも、すごさを感じさせないところがすごいのかもしれない。
意外と物事を真剣に見て考えている人だという気がする。
きことわ 朝吹真理子(著)
永遠子(とわこ)と貴子(きこ)のふたりが、子供の頃に遊んだ別荘に大人になって再会する。
子供の頃の記憶、大人になってからの感覚、風景、記憶と現実、幻想が交錯する。
この夢を見ているような感覚はなんだろうか。
この不思議な世界は未だによくわからない。
苦役列車 西村賢太(著)
19歳の貫多は、中卒で日雇い仕事によって日々過ごしている。
その日暮らしで何の目的もなく生活する様はすごい。
友達もなかったが、同い年の学生日下部と出会い少し気持ちが変わっていく。
しかし、その日下部に彼女ができて離れていくと、またもとの生活に戻っていく。
私小説というらしいが、このような生活も実際あるのだろう。