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黒岩重吾:古代史シリーズ

私が日本の古代史に興味を持ったのは、黒岩重吾さんの古代を舞台にした王(天皇)や豪族にまつわる小説を読み始めてからでした。今から十数年も前のことですが、とにかくどの作品も面白くて、発表されていた作品を次々と読破しました。その当時に夢中になって読んだ作品の中で、特に印象に残ったものをいくつか紹介したいと思います。

天の川の太陽

壬申の乱を背景にした天智天皇と天武天皇の物語。

天智天皇としては自分の息子である大友皇子を跡継ぎに任命したが、天武天皇が壬申の乱で権力を手中に収めるまでが描かれている。

壬申の乱はある意味クーデターとも言えるが、それを実行するまでの天武天皇の葛藤が伝わってくる。

白鳥の王子 ヤマトタケル

日本神話でおなじみの日本最古の英雄とも言えるヤマトタケルの物語。

大和王朝の王子でありながら、父王に疎まれて、西の熊襲を征討した後は、東の国々を討つことになる。

いくら難題を突きつけられても、健気にも困難に立ち向かおうとする姿はまさしく英雄だと思わせる。

ワカタケル大王

雄略天皇の物語。とにかく勇猛果敢な王だ。

大和王朝の支配が関東から九州まで及んだくらいまで、非常に権力とカリスマ性を持った天皇だ。

ただし、皇位継承者がほとんどいなくなってしまうくらいに、自分の政敵はことごとく殺戮したので、とても恐ろしい印象を持ってしまう。

斑鳩王の慟哭

聖徳太子(厩戸皇子)の息子である山背大兄王の苦境の物語。

聖徳太子没後に蘇我蝦夷との争いに破れ、斑鳩宮で一族が滅びるまでが描かれている。

聖徳太子一族が実は不幸に見舞われていたのは、なんだか切ないものがある。

天翔る白日―小説 大津皇子

天武天皇の皇位継承を巡る大津皇子の悲劇の物語。

文武に秀でた皇子だったが、政治闘争に敗れて悲劇的な結末に至る。

今も昔も人物の優劣だけでは、然るべき地位には立てないようだ。

弓削道鏡

孝謙女帝の信頼を得て、異例の出世をとげた道鏡の生涯の物語。

一般的には、道鏡が孝謙女帝を誑かしたように言われているが、その実情は一体どうだったのかといった興味を掻き立てられる作品だ。

孝謙女帝が道鏡に惚れていたのは間違いなさそうだけど。

落日の王子 蘇我入鹿

大化の改新(乙巳の変)で討ち取られる蘇我入鹿の物語。

一般的には、小賢しい悪役に思われているが、実は大変優秀な人物だったようだ。

しかし、そんな優秀な人物でも、ほんのちょっとしたことで人生が狂うようだ。

紅蓮の女王 小説推古女帝

歴史上初めて女帝となった推古天皇の若かりし頃の物語。

歴史の勉強では単に最初の女性天皇としか教わらないが、このように小説として読むと当時の状況が生き生きとイメージできる。

昔も今も女性の激しい恋はすごいな。

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