2010年前後頃から読んできた本、特に小説について、読んだ当時に書き留めたことなどをもとに改めて一言ずつ書いてみます。
一週間 井上ひさし(著)
ロシア・シベリアの捕虜小松修吉の一週間の物語。
日本語新聞社で脱走兵の談話を記事にするように命令される。
脱走兵入江軍医からレーニンの手紙を預かり日本へ帰国しようと企てる。
いろいろな顛末があり面白いが、最後が少し尻切れトンボのような印象がある。
いろんな伏線が結局解決されないなどは、著者による加筆がされなかったためだろう。
空也上人がいた 山田太一(著)
介護士の草介と吉崎老人、そしてケアマネ重光さん。
20代と80代と40代の三人の複雑な人間関係。
秘密や罪の意識を誰もが持っているが、それでも空也上人はただそばにいるだけで、付き添ってくれる。
人に言えないことって誰にでもあるよね。
死ねばいいのに 京極夏彦(著)
ワタライケンヤに鹿島亜佐美が殺される。
ケンヤが亜佐美のことについてその知り合いに尋ねてまわるが、誰も亜佐美のことではなく自分のことばかり話をする。
そして人生に不満はたくさんあるが、誰も死にたくはない。
人生に不満はなく幸せだった亜佐美を、幸せなうちに死ねるように殺してしまったケンヤ。
人の幸せって、本当にその人がどのように感じるか次第だ。
伝説 金子達仁(著)
過去の記事で集めた第二集。
サッカーだけではなく、他のスポーツ記事も含まれていておもしろい。
どんなスポーツでも共通の視点があり、また独自の視点がある。
またその道を極める人は、何かしら人とは違うものを持っているような気がする。
世界で通用するスポーツ選手は、どんなスポーツでも共通する強みや視点を持っているように思う。
ロードサイド・クロス ジェフリー・ディーヴァー(著)
インターネット上でブログにより繰り広げられるある少年への非難中傷。
それをもとに殺人を予告するようなクロス。
キネシクスの専門家のキャサリン・ダンスが事件を解いていく。
次から次へと小さな事件が積み重なっていき、それらが関連していく緻密なストーリー。
鮮やかの一言。ページを次から次へとめくりたくなる。
沈黙の檻 堂場瞬一(著)
時効になった殺人事件の犯人かと疑われる末松。
事件の真相を追いかける刑事氷室。
共犯の男が事件を週刊誌に暴露したため、末松はマスコミに追われる。
真相は何かと引き込まれて読んだが、意外と波乱なく落ち着いたというのが実感。
確かに刑事として真相を胸に秘めておくことは、とてもつらいと思う。