2010年前後頃から読んできた本、特に小説について、読んだ当時に書き留めたことなどをもとに改めて一言ずつ書いてみます。
センセイの鞄 川上弘美(著)
退職した先生と卒業生の恋物語といっていいかな?
行きつけの飲み屋で飲むようになり、酒飲み友達からなんとか恋人に行くのか行かないのか。
同級生よりもセンセイに恋する私は、よくわからない感覚だなあ。
お酒を飲むシーンはとても美味しそう。
ジョッキー 松樹剛史(著)
フリーのジョッキー(厩舎に属さない)の物語。
競馬の社会の仕組みがよく分かった。
とにかく勝たなければならない世界なので、いろいろな手を使って勝負する。
馬主の意向が絶対らしい。
馬もいろいろな性格があるようだ。
嘘つきアーニャの真っ赤な真実 米原万里(著)
プラハのソビエト人学校での同級生の物語。
社会主義国の国々からの同級生たちとの学校時代の思い出や、筆者が帰国後数十年ぶりに再開した時の様子などが描かれている。
それぞれの親たちは各国で共産主義による国作りを目指していたが、それぞれの立場は違っていた。
ギリシャ、ルーマニア、ユーゴスラビア政情が反映されている。
国によって民族問題は根深いものがあると感じた。
そうか、もう君はいないのか 城山三郎(著)
城山三郎の妻容子さんについての回想記で、遺稿となる。
明るい性格の容子さんをとても想っていたことがわかる。
同じ行動をとるわけではないが、一緒によく旅行に出かけていた。
若い頃は親と同居などで苦労をかけたようだが、容子さんはほとんどぐちを言わなかったらしい。
妻に先立たれた後の城山がかなりこたえていたことが、娘さんの手記からわかる。
連れ合いを亡くすのはそういうことなのかもしれない。
敗者復活戦 高任和夫(著)
定年したあるいは間近の男たちが、定年後の生き方についてそれぞれ思いを巡らす物語。
趣味に走るか、酒に溺れるか、今の仕事を続けるだけ続けるか。
暇ができると3ヶ月でやることがなくなる。
定年後も本当にやり続けることは仕事で、金を稼ぐための仕事ではなくて、誰かのためになる仕事、誰かに喜んで貰える仕事、そして感謝の気持なんだろう。
プラチナタウン 楡周平(著)
元商社マンが故郷の町長になり町を蘇らせる物語。
採用人事でヘマをしたために、部長をやめなくてはならなくなった。
一方で故郷の町が借金で財政破綻寸前になっていたため、同級生から請われて町長になるが、当初はどうにもならない。
やがて老人のためのまちづくりを、元商社に持ちかけて町を活性化していく。
老後の住宅問題については考えさせられる作品だ。