2010年前後頃から読んできた本、特に小説について、読んだ当時に書き留めたことなどをもとに改めて一言ずつ書いてみます。
鷺と雪 北村薫(著)
女学生の花村英子と運転手別宮みつ子ことベッキーさんの物語シリーズ
昭和初期の華族の暮らしとその周辺に起こる不思議な出来事の謎解き
華族の暮らしになじめない人、ライオンへの受験祈願、
二・二六事件などの史実をベースにした物語だが、当時の人たちも今と変わらないと思う。
恋文の技術 森見登美彦(著)
京都の院生守口一郎が石川の研究所から京都の人たちへ送る手紙形式の物語
友人や先輩、元教え子、妹、モリミトミヒコ氏へ宛の手紙
ほろ苦い学生生活や片思いなどハチャメチャな文面で、ばかばかしい内容に思わず笑い声をあげてしまった。
でも、何だか気持ちが和む。
サルガッソーの広い海 Wide SARGASSO Sea ジーン・リース(著)
西インド諸島のイギリス人女性アントワネットの生涯
本国イギリスとは違うし、自分は現地人(植民地)とも違う。
母が最期に狂い、イギリス人男性と結婚するが愛されない。
本国に連れていかれて幽閉されるが、狂気なのか、正気なのか?
身分差別や時代背景については、日本人である自分にはなかなか理解しづらい。
人はこのような困難な状況に置かれると、精神を保つのはやさしくはないのだろう。
自分の知らない世界があること、これを知るのも読書の面白さの一つだろう。
自分がそこにその時代にいなくても知ることができるのだから。