ITはあくまでツールなので、それを使って何らかの効果を出すことが重要です。
つまり、ITを導入するときには何を目的として導入するかを事前に明らかにしておく必要があります。そもそもコンピュータを導入したりシステムを構築すること自体が目的ではありません。
よくIT導入のためにプロジェクトや担当チームを設けてかなりの要員を手配したり費用をかけることがありますが、導入したITをどのように活用していくか、そのためにどのように運用していくかの方がはるかに重要だと私は考えています。つまり、ITを導入してどのように業務が変わるのか、どんなふうに仕事のやり方が変わるのかをよく考えていないとITを導入しただけで仕事の目的を果たしたように思ってしまいます。
例えばハイスペックなパソコンやサーバーまた機能満載のソフトウェアを導入するとしてもそれをどのように使うかが問題です。
もう20年以上前のことですが、パソコンが出だした頃に当時のCFOが自分のパソコンにメールソフトを導入することに抵抗を示したことがありました。その頃の私にはなぜCFOが抵抗したのか理解ができませんでしたが、CFOとしては自分が使うかどうかわからないものに投資をすることに疑問があったからではないかと今では推測します。単に何か新しいからとか流行りだからいってもビジネスとして何もベネフィットを生まないものはコストをかけるべきではないのは今となっては当然だと思います。
一般的には何か新しいテクノロジーを導入したとか画期的なシステムを構築したとかについてよく注目を浴びますが、本来はそのITシステムを現場の人たちが活用できて初めて成功といえると思います。そのためにはまず初めにどのような目的でITを導入または構築するのかということを明確にして、現場で具体的に活用している光景を想定できることが肝心だと思います。
でもこれは案外「言うは易く行うは難し」ですね。