大国主の国譲り
高天原を治めるアマテラスは子であるアメノオシホミミに、本来なら高天原が支配すべき地上世界の支配を命じます。
その地上は乱れて騒がしいので、その国譲りの交渉のために、地上界を治める大国主のもとに使者を二度も派遣しますが、いずれも使者たちが命令に背き失敗に終わります。そこで、アマテラスは強力な武神のタケミカヅチを地上に送り、大国主に国譲りを強行に迫ります。
大国主は是非を子に委ねますが、譲渡に反対する大国主の子のタケミナカタは、抵抗するもタケミカヅチに力比べで屈服させられて逃走します。タケミカヅチは諏訪湖まで追い詰めますが、タケミナカタは命乞いをして諏訪に幽閉されます。そのタケミナカタを諏訪の地で祀るのが、勇壮な御柱祭でも知られる諏訪大社です。
ついに、大国主は自らを祀る大きな神殿を立てることを条件に、地上を高天原に譲り、ようやくアマテラスの子を地上に送る下地が整いました。そして、大国主を祀るのが立派な社殿で有名な出雲大社です。
マイ古代妄想(私の個人的な解釈による誇大な妄想)
この物語は、出雲の国譲りとして有名ですが、皇室の正当性を語るために大変重要な話です。
ここで高天原に国が譲られ、その後天孫降臨からその子孫が初代神武天皇になっていくわけですから、神話の時代、神代から天皇家が日本列島の支配者であるということを述べています。
国譲り交渉の初めの二回は、大国主の巧みな懐柔策が成功して、二人の使者が取り込まれましたが、三度目の使者に対しては子供に任せるといって、いわば引き伸ばし作成を取ります。このあたり大国主はなかなか老練な感じです。しかし、最終的にはタケミナカタも国譲りに応じたために、さすがの大国主も国譲りに同意をします。この際に出雲の国も含めて国譲りをしたのかどうかは、微妙なところで出雲の国だけは譲らなかったかもしれませんね。
この物語は、国譲りといういわば政権交代の話ですが、多少の武力衝突はあったかもしれませんが、全般的に話し合いでの無血国譲りがされています。これは皇室の正当性を示すためにも、武力で強引に国を奪ったのではなく、もともと支配する権限があり、一時的に支配していた大国主から譲り受けたということが大事なところだからでしょう。