過去に読んだ本:一言書評・読書ログ-48
過去にこれまで読んできた本、特に小説について、読んだ当時に書き留めたことなどをもとに改めて一言ずつ書いてみます。
離れた家 山沢晴雄(著)
評判通り難解なミステリだった。
登場人物や時間や場所が様々に入り混じって、正直頭の中で整理できていないところが多い。
ちょっと無茶な設定ではないかと思われるところもあるが、理論的にはあり得るトリックだ。
このように可能性がある限りは、ミステリとして成り立つものなのだろう。
ブラウン神父の童心 G・K・チェスタトン(著)
まんまる顔で大きな帽子とこうもり傘がトレードマークの小柄なブラウン神父が、いくつもの不可解な事件をひょうひょうと解いていく。
名探偵のようにさっそうと登場するわけではないが、なぜかいつも事件現場にいて、独特の言い回しで謎に迫っていく。
最初は何が事件で、何が起こっているのかよくわからなかったりするが、最後にはいつも意表を突かれてしまう。
本陣殺人事件 横溝正史(著)
金田一耕助が初登場する作品。
彼の経歴が紹介されていて、過去に麻薬中毒だったのは少しびっくりした。
戦前の旧本陣の様子や当時の価値観により、現代では考えられないような独特の雰囲気がある。
トリックもさることながら、動機に関わるところは、人間の少し狂気じみた部分が描かれていて、推理小説というよりは、人間の闇を描いた小説のようだ。
しりあがりX北斎 しりあがり寿(著)
葛飾北斎の富士山を描いた三十六景のパロディーなどの作品集。
有名な赤富士や浪裏などを題材にした作品がいくつもあり、一つの絵だけでもいろんな見方があるものだ。
思わず笑ってしまう可笑しな絵や、こんなふうに見えるのか、こんな見方があったのか、と感心してしまう絵も多い。
この様にパロディーになる北斎の作品は、いろんな想像力をかき立てるくらい素晴らしいということなのだろう。
蝶々殺人事件 横溝正史(著)
横溝正史らしいおどろおどろしい事件ではなく、トリックの巧妙さで読ませる作品。
物語の舞台が東京と大阪を行き来するので、場所と時間が入り乱れて、ときどき頭の中が混乱した。
読者に犯人を推理させる構成になっていたが、最後まで犯人はわからなかった。
ちなみにこの作品は「本陣殺人事件」と並行して執筆されたらしい。
いずれも戦前が舞台だが、両作品の趣が異なるのは、当時の日本の古い慣習と新しい世相を反映していておもしろい。
妄想美術館 原田マハ、ヤマザキマリ(著)
アートを愛する二人が美術館や名画について語り合う。
ふたりとも美術館には友達の家に行くように気軽に行ってほしいと言う。
また、作品には純粋な心のままで楽しみ、気になった作品についてはもっと知るようにすればいいそうだ。
そうすれば作品と友だちになり、関係も深まっていくらしい。
まずはいろんな作品にふれることからだろう。