過去に読んだ本:一言書評・読書ログ-37
過去にこれまで読んできた本、特に小説について、読んだ当時に書き留めたことなどをもとに改めて一言ずつ書いてみます。
宵待草夜情 連城三紀彦(著)
表題作ほか五篇の短篇集。
いずれも男女の哀しい仲が描かれているが、そこにはいろいろな謎や秘められた思いがあり、それらに驚いたり、また納得したりした。
明治や大正時代が舞台だったりするが、いつの時代でも男女の愛憎には変わらないものがあると思う。
書きたい人のためのミステリ入門 新井久幸(著)
出版社で長年、新人賞の下読みを担当してきた編集長である著者が、ミステリを書くときのお約束を解説している本。
ミステリを書きたい人向けの解説ではあるが、ミステリを読む立場の人にとっても、ミステリで重要な事柄が改めて分かるので、ミステリを楽しむ上で役に立つ。
今までミステリを読むときは、ストーリーを追うことだけで、これまであまり意識していなかったポイントが結構あるので、今後はそれらも意識して読むようにしたい。
ベルカ、吠えないのか? 古川日出男(著)
ジャーマンシェパードのある軍用犬の系統をたどる物語。
第二次世界大戦からベトナム戦争やアフガン紛争などが主な戦場での舞台だが、シベリア、アメリカ、太平洋諸島などいろんな土地で、血のつながった犬たちが、人間たちに翻弄されながらも生きている。
人間たちに都合よく利用されている犬たちだが、自分の主人に対する忠実さはすごいとしか言いようがない。
そのときは彼によろしく 市川拓司(著)
三人の幼馴染が15年後に皆それぞれの道を歩んでいて、なかなかうまく交わらなかったが、ついに再会する。
一緒に遊んでいた頃が一番幸せだったためか、その頃の気持をずっと持ち続けていくことができるというのは、ある意味うらやましい。
本題の「そのときは彼によろしく」とは、誰が誰に言ったのかと思っていたが、終盤でその疑問が解けた。
大学教授、発達障害の子を育てる 岡嶋裕史(著)
大学教授である著者が、自身の発達障害である子供を育ててきた中で、思ったことを綴っている。
著者自身も自閉傾向があり、子供の頃からなんとなく生きづらいと感じていたようだ。
そのような著者だからか、発達障害を抱えた子たちがどのように感じているのかを説明されていて、とても参考になった。
私自身も自閉症の子がいるが、これまではその子の気持ちや感じていたことを、あまり理解できていなかったのだろうと思った。