寝たきり社長・佐藤仙務(ひさむ)さんの講演を聴いて

先日、会社が主催する講演会で、重度の身体障害者である佐藤仙務(ひさむ)さんの話を聞く機会を得ました。彼は、株式会社仙拓の代表を務めており、自らを寝たきり社長と称して、車椅子であちこちを飛び回って活動をされています。

子供の頃から障害のために手足を動かすことができずに、ほぼ寝たきりの生活を送りながらも、学校を卒業したら当たり前のように働くつもりでいたそうです。しかし、現実は厳しく重度の障害者を雇ってくれるところはなかったため、仕事ができる場所がないなら自分で会社を立ち上げようということで起業したそうです。会社を立ち上げることで、他の障害者が働ける場も提供していきたいと思い、実際に数名の障害者を雇っています。

また、障害者という意味の「チャレンジド」と障害者が主役という意味で「メイン」という言葉を合わせて、「チャレンジドメイン」という業務委託のサイトを立ち上げて、その他多くの障害者が働ける環境を提供しています。一般企業が業務委託をする場合は、厚生労働省から補助金があるので、委託する側もメリットがあるようです。

佐藤仙務(ひさむ)さんは、指もほとんど動かせないために、PCを操作するときは、視線でキーボード入力できる装置を使っていたのには驚きました。一昔前ではそのような装置も高価でなかなか手に入らなかったようですが、最近はITの進化がすごいので、とても安価でそのような装置が準備できるようになっているようです。このようなことも実際に教えてもらうまでは知らなかったので、一般の健常者には障害者のことで知らないことがたくさんあると思いました。

ここまで来るのには、やはり様々な困難があったとようで、「もし、自分のためだけで仕事をしていたら、途中でくじけていたかもしれない。でも、他の障害者のためということがあったので、頑張ってこれた。」と話されていたのが、印象的でした。そして、どんな障害者でも、働く意欲があって前向きな人であれば働ける、そのためには、自信を持つことが大切だと述べておられました。では、どうやって自分に自信をつけていくかについては、どんな小さなことでも自分との約束としてやり遂げるということを、ひとつひとつ積み上げていくことで、自分に自信をつけることができると考えているそうです。

また、帯同されていたお母さんの笑顔がとても良かったです。息子さんが頑張っておられることを暖かく見守っているようで、仙務(ひさむ)さんが私の子供と同じ年頃のせいか、思わず自分の子供が講演しているような気持ちで聞いてしまいました。

最後に、この講演を聴いて、働ける場所があるだけで幸せなのだと改めて思いました。

Follow me!

あなたのご意見をお知らせください。