過去に読んだ本:一言書評・読書ログ-56
これまで読んできた本について、読んだあとに書き留めたことなどをもとに改めて一言ずつ書いてみます。
一億三千万人のための「論語」教室 高橋源一郎(著)
著者による「論語」の完全新訳版というか意訳版。
私自身論語には何度か挑戦しては読破できないことを繰り返していたが、ようやく最後まで読み通すことが出来た。
これまでの訳では、孔子が何を言ったかは分かるが、何を言いたかったのかがよくわからないことが多かったが、この新訳では、著者の解釈が入っているとはいえ、意味を理解することが出来た。
以前は孔子は聖人のような印象だったが、これを読むととても人間的な感情豊かな人だったように思える。
沖縄のことを聞かせてください 宮沢和史(著)
著者と沖縄に生きる人たち、または縁のある人たちとの対談や自身のエッセイなどをまとめた本。
県外であるヤマト出身の著者が沖縄の歴史や文化について熱く語り合っているところは、何が著者をここまで突き動かしているのだろうと思ったが、本書の最後にその理由は「沖縄を愛しているから」と書かれてあり、なるほどと納得できた。
沖縄は様々な面を持つところだと思うが、こんな風に何か人を惹きつける力があるのだと思う。
現代文解釈の基礎 遠藤嘉基、渡辺実(著)
現代文の読み方を解説している半世紀近く前の教本。
文学的な文章と論理的な文章に分けて解説している。
これまで現代文の読み方などあまり意識してこなかったが、作者が作品で何を伝えたかったのか読み取るためのポイントは確かにある。
特に文学的な作品から作者が言いたいことを読み取ることは、これまで少しおろそかにしてきたかもしれない。
新緑色のスクールバス 赤川次郎(著)
主人公が15歳の女子中学生の頃から25年間続く人気シリーズの長編青春ミステリー。
主人公が40歳になり登場人物も同様に年を重ねる。
様々な人物が登場していろんな事件が次々と起こり、話の展開が目まぐるしい。
それがこのシリーズの面白いところなのだろう。
キャプテンサンダーボルト 阿部和重、伊坂幸太郎(著)
野球少年だった二人が世界を救うために活躍する。
物語の設定が荒唐無稽で少し引いてしまうところがあったが、それをそのまま受け入れるとエンタメ作品としてとても楽しめる。
これが二人の著者による合作小説であることにも感心してしまう。
働く悩みは「経済学」で答えが見つかる 丸山俊一(著)
働くことと資本主義の関係などについて講義形式で考察している本。
マルクスやアダム・スミスなどの経済学の巨人たちが登場して、ホンネを語る。
実際に本人がそう思っていたかどうかは別にしても、これまで自分が持っていた印象とは異なり、新たな見方ができたように思う。
経済学とは、効率を追い求める学問のように感じていたが、本来は人間の幸福とは何かを追求する学問のようだ。
世の中が進歩しているのは間違いないが、いつの時代でも働くことに関する悩みは尽きないようだ。