新インナーゲーム:ティモシー・ガルウェイ
新インナーゲーム
ティモシー・ガルウェイ(著)、後藤新弥(訳)、日刊スポーツ出版社
日頃からテニスをもっとうまくなりたいと思っていたところに、テニスの技術を向上するための身体面に関するハウツー本ではない本があることを知りました。この本は、テニスを題材にしていますが、テニスに限らずあらゆるスポーツの能力向上を目指す方に活用できる本です。また、心理面に関して述べていますが、一般的なイメージ・トレーニングやメンタル・トレーニングのハウツー本とも根本的に異なっています。
著者は、自分自身が競技に関する能力を向上させて、スポーツそのものを愉しむことに対して、それを妨害しているのは実は自分自身の心、自我の部分だと述べています。そして、その自我の部分を二つに分けて、マイセルフ(MYSELF)のセルフを取って、セルフ1とセルフ2と名付けています。自分自身が愉しむことに対して無意識に妨害行為をしているセルフ1を減らして、セルフ2という自分自身の本能部分を自由に活動させることで、人はスポーツによる充実感や真の喜びを体験できるのではないかと考えました。そして、その考え方と実践方法を、「インナー・ゲーム(内側のゲーム)」として発表しました。
私自身もそうですが、プレイヤーはプレイ中に都度自分自身に話しかけていることがあります。例えば、「しっかりするんだぞ」「いまのは良いプレイだ」「そのプレイはだめだ」など心で思ったり、声に出したりしていることがよくあります。このように自分自身に話しかけ、叱責し、支配している声の主がセルフ1であり、その命令によってプレイする存在がセルフ2になります。著者によると、このセルフ1の口数が少なければ少ないほど、実際のプレイは良くなるそうで、セルフ2を信頼すればするほど、セルフ1の口数が自然に減ることになるようです。つまり、プレイ中はなるべく1プレイごとに自分で評価するのではなく、プレイすることに集中をすることが大切なのだと思います。
ただし、そうと頭では分かっていても、私自身実際プレイをしているときは、1プレイごとに一喜一憂して自分に話しかけていることが多く、集中をしてプレイを続けることは簡単ではないですね。