書評・読書ログ:書くことについて:スティーヴン・キング&村上春樹
文章を書くことについて参考になるのではないかと思い、日米の代表的な作家であるスティーヴン・キングと村上春樹が書いた小説を書くことに関する本を読んでみました。
ふたりともやはり基本的に書くことが好きなのだと思います。まずはそのベースがあって、そのうえで考えるべきことなどを語っていると思います。
書くことについて:スティーヴン・キング
著者自身が苦闘時代からベストセラー作家になるまでの人生を振り返っていますが、子供の頃からホラー作品やSF作品が好きだったようで、それが自身の作品に反映されているようです。私自身ホラー作品はあまり得意ではないので、著者の作品は読んだことはありませんが、著者が「書きたいことを書け」と述べているように、基本的に自分の好きなことや得意なことを書くことが重要なのでしょう。
本書で私が参考になると思った点を上げてみます。
- アイデアは見つけ出すものでなく、ふと目の前に現れたときに気づくもの
- 手直しをするときに一番大事なのは、余計な言葉をすべて削ること
- 語彙は量が少なくても手持ちのものをどう使うかが問題で、本を読めば自然に増えていく
- 作家になりたいのなら、たくさん読み、たくさん書くこと
- 二次稿=一次稿マイナス10%
- 人には必ず個人史があるが、それは総じてさほど面白いものではない
- 最も貴重なレッスンは、自分で自分に教えること
- ものを書くのは、読む者の人生を豊かにし、同時に書く者の人生も豊かにするため
職業としての小説家:村上春樹
著者が小説を書く、または小説家であるということはどういうことなのかを、具体的に自身の経験やエピソードを交えて語っています。著者独特の考え方も述べられていて、著者自身の人柄などもうかがえます。
本書で私の気づきになった点など挙げてみます。
- 小説を書く、あるいは物語を語るという行為は、かなりの低速、ロー・ギアで行われる作業
- 言葉や表現の数が限られていても、それを効果的に組み合わせることで、感情表現・意思表現はけっこうできる
- 頭で文章を書くよりは、むしろ体感で文章を書く
- 文章を書くことの気持ちの良さ楽しさは、今でも基本的に変化していない
- 小説を書きたいと志しているなら、あたりを注意深く見回してください
- 書き直すとほとんどの場合、その部分が以前より改良されている
- 持続力を身につけるためには、基礎体力を身につけること
- 自分のために書いているというのはある意味真実
- もし全員を楽しませられないのなら、自分で楽しむしかないじゃないか