過去に読んだ本:一言書評・読書ログ-39
過去にこれまで読んできた本、特に小説について、読んだ当時に書き留めたことなどをもとに改めて一言ずつ書いてみます。
1984年 ジョージ・オーウェル(著)
政府が民衆を完全な管理下に置いている世界。
人々の行動は常時モニターによって監視されている。
人々の思想も疑わしい言動があれば、思想警察に取り締まられる。
そんな中でも主人公は反体制的な考えを持とうとするが、人間の思考がどこまで他人によって変えられてしまうことができるのか考えさせられる。
昨夜のカレー、明日のパン 木皿泉(著)
なくなった息子の嫁と同居する義父を中心に物語が進む。
関連する人たちの短編集になっているが、それぞれがつながっている。
登場人物にとっては決して望むことばかりの人生ではないが、その中でも人は生きていると実感させられる。
人は生きていく上で、自分がどのように感じるかがとても大切なのだろう。
モルグ街の殺人・黄金虫 エドガー・アラン・ポー(著)
史上初の推理小説と言われている「モルグ街の殺人」などを含むミステリ短編集。
世に初めて発表された作品にもかかわらず、密室での殺人事件という典型的なミステリ作品になっているのは驚きだ。
多くの謎や不可能な状況などが散りばめられているのは、ミステリの原点・お手本にふさわしいと思う。
しかし、ポー以前の時代にはこのようなミステリ作品がなかったのは、現代のミステリの興隆を考えれば、不思議な感じがする。
そういう意味では、ポーがミステリというジャンルを創造した業績はすごい。
馬疫 茜灯里(著)
オリンピックが開催される日本で馬に感染するインフルエンザを発端に、感染症に振り回される事態を描いている。
とてもタイムリーなテーマなので、引き込まれた。
乗馬会や競馬会などの馬に関わる業界の話や感染症の研究機関等の詳細は、大変興味深かった。
今のコロナ禍が落ち着いても、新たな感染症のリスクはゼロにはならないことを改めて思い知らされた。
村上海賊の娘 和田竜(著)
瀬戸内の村上海賊の当主の娘を中心とした物語。
信長と大坂本願寺の争いを背景に、本願寺を攻める泉州の眞鍋海賊と本願寺へ兵糧を届けようとする村上海賊の壮絶な戦いを描く。
並み居る武将たちの中で娘が大活躍するが、とても女性とは思えない考え方の持ち主だ。
また当時の武将たちの生き様や死に対する考え方が独特で、自分にはありえない発想だが、そうでなければ生きていけない時代だったのだろう。