書評・読書ログ:お金か人生か:ヴィッキー・ロビン、ジョー・ドミンゲス
お金か人生か 給料がなくても豊かになれる9ステップ
ヴィッキー・ロビン、ジョー・ドミンゲス(著)、岩本正明(訳)、ダイヤモンド社
題名のように、生きるということは「お金か人生か」という二者択一の問題ではないとは思いますが、私自身時折そのような感覚になることも事実です。
人生にお金が必要なことは明らかですが、では一体どのくらいのお金が必要なのかについて考えさせてくれた本でした。
本書では、1日のほとんどを仕事に費やし、稼いでは散財する一般的なアメリカ人が持っている価値観に一石を投じています。
生存のために十分な必需品、くつろぎや喜びのために十分な楽しいもの、そして少しばかりの贅沢品があれば十分で、そのために必要なだけのお金を稼いでいけばよいと述べています。つまり、十分な、ただそれ以上でない、収入を得ることができれば、いいはずだと。
そして、お金があなたの人生にもたらすものに感謝し、十分に楽しみつつ、必要でないもの、欲しくないものには決してお金を使わないことが大切です。
無駄とは、所有物の数が多いことではなく、それらを楽しむことができないことで、倹約とは、共有することを学ぶことでもあるそうです。このように考えると、無駄をなくし、倹約をしようと思いますが、そのために最も重要なのは、必要なときだけ買うという規律を身につけることだそうです。確かに、必要なだけ資源を使うことは、エコな生活にもつながると思います。
また、お金とは、自分の生命エネルギーを差し出して手に入れるものなので、お金を稼ぐために、人生のどれだけの時間を差し出せるか、つまり、生命エネルギーをいかに使うかを考える必要があります。働いている時間だけではなく、もし、休暇を取ることが、働く場に戻るための一時的な休息のような時間であれば、それもお金を稼ぐための時間と言えます。
仕事の世界には、ある種の無責任さが蔓延しており、特に組織内では、少し上の立場のほかの誰かを喜ばせるために、常に誰かの命令を実行しているという感覚だという著者の主張には全く同意します。
もし、仕事をお金を稼ぐための活動ではなく、シンプルに生産的活動、目的を持った活動と定義し直すことができれば、自分の好きなように自由に働けます。楽しみのために働いても、誰かにお返しするために働いても、インスピレーションに従って働いても、向上心のために働いても、自己変革のために働いても、何を目的に働いても構わないはずです。
このように選択できることこそが、人生においていちばん大切だと思います。著者によると、お金ではなく、自分にとって最も貴重な資源である時間、意識、人生を何に使うのかという選択こそがカギを握ります。
そして、お金の使い方や稼ぎ方と自分の価値観を調和させる事が重要で、自分の価値観に沿った生き方をすることで、心は穏やかになり、「お金か人生か」という二者択一の問題に陥ることはなく豊かな人生を送れるのでしょう。