過去に読んだ本:一言書評・読書ログ-45
過去にこれまで読んできた本、特に小説について、読んだ当時に書き留めたことなどをもとに改めて一言ずつ書いてみます。
極夜行 角幡唯介(著)
冬の北極で極夜と呼ばれる太陽が全く出ない時期における闇の世界での探検記。
今や世界に未踏の地などほとんど残されていない現代で、人類が経験したことのない探検とは何かと著者が考えた結果、極夜の世界を長期間探検することにしたようだ。
月や星の明かりに比べると、太陽の力というのは、とてつもないことがわかる。
生きるものにとっての太陽の存在はかけがえのないものだと思った。
おんなのじかん 吉川トリコ(著)
著者のエッセイ集。妊娠に関する話題など女性からの視点による内容が多い。
男性である自分にとっては知らなかったことや思ってもみなかったことが多く、改めて女性ならではの思いや悩みがあることに気づく。
また、人の気持ちは単純なものではなく、時には複雑であり、一般的にあまり良いとは思われない感情が湧いてくるのも事実なのだろう。
人の気持ちをあまり決めつけてしまうのは、改めて良くないと思った。
十角館の殺人 綾辻行人(著)
孤島を舞台にした連続殺人が発生する。
アガサ・クリスティーの「そして誰もいなくなった」を思い起こさせる。
さすがに名作とあって、謎解きに無理はなく、真相がわかるとなるほどと納得してしまう。
いろんな伏線もすべてつながっていくのは見事。
しかし、私の読み込みがまだ甘いためか、最後のエピローグでは、理解できないところがあるのが残念だ。
ジブリの立体建造物展 図録<復刻版> スタジオジブリ(編)
スタジオジブリの作品に登場する建築物に関する制作資料を公開した展覧会の図録。
千と千尋の神隠しに出てくる油屋や、ハウルの動く城などのたくさんの建物の絵が載っていて見飽きることがない。
どの絵もとても丁寧に描かれていて、細かいところまで見入ってしまう。
どれも空想上の建物だが、見ていてなんだかとても懐かしい気持ちが湧いてくる。
アクロイド殺し アガサ・クリスティー(著)
名探偵ポワロが登場して事件を解決していく。
灰色の脳細胞を駆使するわけだが、灰色という表現は、私にはあまりシャープでない何かとぼけた感じがして、一見ポワロは迷探偵なのかと思ってしまう。
この作品では、ミステリファンの間で読者に対してフェアかアンフェアかという議論が起こったようだが、私は読んでみてうまく騙されたという感想を持ったのと同時に、ミステリはすべて疑ってかからなくてはと思った。
本屋さんのダイアナ 柚木麻子(著)
少女二人が出会い、友だちになり、またすれ違いながら大人へと成長していく。
一人はダイアナという名前ゆえに、いろんな苦労をしていく。
もう一人の彩子は、恵まれた環境で育っていく。
正反対に見える二人だが、本の世界を通じて強く結びついていく。
誰しも人の気持ちを慮って、周りから期待されることに応えようとするものだが、そのために無理をしすぎてしまうこともある。
二人はそんな生き方をしていたが、自分に素直になることを学んでいく。
ときには、自分の思う通りにしてもいいのだと思わせてくれた。