美術鑑賞-4:メトロポリタン美術館展

大阪市立美術館で開催されていた「メトロポリタン美術館展」を見に行ってきました。

メトロポリタン美術館展

入場に関しては時間ごとに人数制限を行い、検温の機器が設置されているなど新型コロナウィルス対策がきっちりとされていましたので、安心して観覧できるようになっていました。

本展では、ニューヨークのメトロポリタン美術館が所蔵している西洋絵画の主要作品が一挙来日しています。15世紀の初期ルネサンスから19世紀のポスト印象派までの500年の西洋絵画史に残る名画65点が展示されています。そして、そのうち46点が日本初公開です。

メトロポリタン美術館は、ニューヨークの市民によって創立され、当初は非常にささやかな数のコレクションから始まり、以来拡張を続けて世界有数の美術館の一つになったそうです。現在改修工事で閉鎖中のために、このような数多くの作品の展示会が実現したようです。

カラヴァッジョ、フェルメール、ルノワール、セザンヌなど多くの巨匠の作品が展示されており、それ以外にもなぜか惹かれる作品も多々あり、とても豊かな時間を過ごすことができました。

それらの中で、いくつか印象に残った作品について、以下に挙げてみます。

カラヴァッジョ:音楽家たち

本展のメインビジュアルにも選ばれている作品です。とても美しい若い男性たちが描かれていますが、その中にカラヴァッジョの自画像と言われる人物もいます。その彼だけがこちらを見つめているのですが、こちらに何か問いたげなように見えます。

ジョルジュ・ド・ラ・トゥール:女占い師

女占い師の老女に若者がコインを渡しているすきに、周りにいる女達が若者の身につけている金品をかすめ取ろうとしています。この時代にもそのようなことが実際にあったのでしょう。この絵の中で特に目が行くのが、それぞれの人物の目線で、例えば若者の疑いの眼差しのように、それぞれの心情を物語っているように見えます。

ピエロ・ディ・コジモ:狩りの場面

人間や動物だけではなく、ギリシャ神話などに登場する半人半獣の空想上の生き物も描かれていて、とても荒々しい狩りの様子ですが、少し神秘的なところも感じます。背景の森では火の手が上がり、鳥たちが飛び交っているのが、臨場感があります。

グイド・カニャッチ:クレオパトラの死

クレオパトラが戦いに敗れて、毒ヘビに自分を噛ませて自殺しようとしている絵です。胸をはだけて毒ヘビをあてがい、悲しげに天を見あげ紅潮した頬のクレオパトラは、自分のこれまでの権威的なイメージとは違うとても官能的なクレオパトラでした。

アンニーバレ・カラッチ:猫をからかう二人の子ども

兄と妹が、猫にザリガニを向けて挟ませようとしています。二人の表情が子ども特有の少し残酷そうな顔になっています。いつの時代も、子どもが悪戯をするときは、このような表情になるのでしょう。なぜか猫がやや太り気味ではないかと気になりました。

メインデルト・ホッベマ:森の道

この絵を見てホッとしました。農村で森へ続く道が描かれています。右側から日が射していて、とても穏やかな雰囲気があります。空、雲、木々、道に立つ人々、家、納屋、地面などがとてもバランス良く配置されているように見えます。

マリー・ドニーズ・ヴィレール:マリー・ジョゼフィーヌ・シャルロット・デュ・ヴァル・ドーニュ(1868年没)

とても可愛い女の子です。筆と画板のようなものを持って椅子に座り、こちらを見つめています。どうしたのと問いかけてみたくなります。

ポール・セザンヌ:リンゴと洋ナシのある静物

テーブルの上の皿に置かれたリンゴ、洋ナシが描かれています。物の形や角度がいびつだったりして、全体的には、我々の目で見える現実にはありえない構図になっていますが、それぞれ一つ一つは手に取れるような感じがします。なぜかとても惹かれます。

メトロポリタン美術館展

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