日本古代史の謎、未だ解明されていない謎について(その10):天孫降臨と日向三代
天孫降臨と日向三代
古事記に天孫降臨と日向三代と呼ばれる物語があります。
アマテラスは、孫であるニニギノミコト、天孫を地上に下ろすことにします。そして、一行は日向の国の高千穂に降り立ちます。そこで、ニニギノミコトはコノハナサクヤヒメと出会い見初めますが、姉のイワナガヒメは親の元へ返してしまいます。
ニニギノミコトと一夜を過ごしたコノハナサクヤヒメは懐妊しますが、ニニギノミコトは自分の子かどうか疑います。疑われたコノハナサクヤヒメは、火中で出産して無事に子が生まれ、その疑いは晴れます。生まれた子供は、ホデリノミコト(海幸彦)、ホスセリノミコト、ホオリノミコト(山幸彦)の3人でした。
海で魚をとり暮らしていた兄海幸彦の大切な釣り針をなくした山幸彦は、海神の国へ行き娘のトヨタマヒメと結婚して、兄の釣り針を取り戻して帰ってきます。しかし、懐妊したトヨタマヒメの出産を山幸彦はのぞき見て、巨大なワニ(サメ)であることを目にしたために、トヨタマヒメは海神の国に帰りますが、生まれた子がウガヤフキアエズノミコトになります。そして、トヨタマヒメの妹のタマヨリヒメと結ばれ、その子ワカミケヌノミコト(カムヤマトイワレビコ)が初代神武天皇になることになります。
マイ古代妄想(私の個人的な解釈による誇大な妄想)
アマテラスがなぜ孫のニニギノミコトを下ろしたのかについては、古事記を編纂していた当時、持統天皇が孫の文武天皇に譲位したことをなぞらえたとされていますが、確かに納得できる見方です。そして、なぜ大和朝廷の本拠地である奈良ではなくて高千穂に降りたのかについてですが、これはその地にあった王権が大和朝廷の元になっているからではないかと思います。
天皇家の先祖は神なのでそもそも寿命はなかったはずですが、ここでイワナガヒメと結ばれなかったという挿話により、天皇家の子孫が人間と同じ寿命を持つようになることになります。また、コノハナサクヤヒメの火中の出産は壮絶な物語で、女性の本気の怒りを感じます。
そして、海幸彦と山幸彦の兄弟の争いの意味は、兄の子孫である九州南部の隼人を服従させた由来を語っていると言われており、この話にも史実を反映させようとしているようです。神話の世界では常に弟が兄に勝っていますが、実際の日本の歴史でもそのようです。
このように色々なつじつまを合わせるために、古事記は本当によく練られた物語だと感心します。