書評・読書ログ:人間尊重七十年:出光佐三

人間尊重七十年

出光佐三(著)、春秋社

出光興産創業者である出光佐三の社内外での講話や講演などをまとめた本です。

佐三自身の経営理念である「人間尊重」について、その時々の時代背景に合わせて語られています。そして、この「人間尊重」という理念については、私自身大変共感しました。

佐三は60歳のときに敗戦により国内外の事業を失いますが、そこから今の出光興産を築き上げたのは敬服するばかりです。そこには「人間尊重」という確固たる信念があったからこそ、ブレることなく前に進むことができたのだろうと思います。

また、佐三の日本という国を思う気持ちの強さは、今の日本人にはなかなか見られないように思います。

以下に、本書で語られていることで、私の気づきになったり、重要だと思った点など挙げてみます。

  • 独立不羈の精神の根本は、人間尊重であり、自己尊重であり、他人尊重である。
  • 黄金の奴隷たるなかれ。資本は人である。
  • 人間のための社会であり、人間が作った社会であるから、人間が中心であらねばならぬ。
  • 俸給は生活の保証であって店員を待遇する方法ではない。店員を待遇するの道は、仕事を楽しましむることである。その才能に応じて適当の仕事を与えることである。適材を適所に配して、仕事に興味をもたせ、人生を楽しましむることである。
  • 黄金の奴隷になるなということと、黄金を尊重するということは別である。
  • 資本主義、社会主義、共産主義という物の分配論は、明治以降、日本へ入ってきたものであって、元来、日本にはないものだ。物の分配が人生じゃない。物をどう分配するかという資本主義、社会主義、共産主義というものは、参考にする程度でいいのであって、本当の人生は、お互いが仲良く、幸せに暮らすということである。

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