書評・読書ログ:フィルターバブル インターネットが隠していること:イーライ・パリサー

フィルターバブル インターネットが隠していること

イーライ・パリサー(著)、井口耕二(訳)、早川書房

インターネットがオープンな世界ではなく、実は個々人に閉じられた世界になりつつあるらしい。

2009年12月4日

「グーグルは、57種類もの信号(ログインの場所や使っているブラウザーから過去に検索した言葉まで)を使い、各ユーザーがどういう人物でどういうサイトを好むのかを推測するようになった。」

すなわち、検索エンジンなどを使用するときに、パーソナライズされたフィルターのせいで、実は自分に興味関心のある情報ばかりに囲まれてしまっているようです。このような状況だと、自分にとってはあまり興味関心がないような情報などの新たな出会いが妨げられていることになり、私自身これはとても問題だと思います。

例えば、フィルターを通してアクセスするときと、自らフィルターを通さずにアクセスできるときと、選択できるようにすべきだと思います。フィルターを通せば、自分が志向している情報に容易にたどり着けますし、フィルターをはずせば、新たな情報に触れることができます。

いずれにしろ、現時点では、自分が見ている情報が、フィルタリングされていると意識すべきでしょう。

以下に、本書で私が重要だと思った点や気づきになった点など挙げてみます。

  • 無償サービスに対して、我々は個人情報という対価を払っている。グーグルもフェイスブックも、それを上手にお金に換えている。
  • 我々は一人ずつ、自分だけの情報宇宙に包まれることになる。これを「フィルターバブル」と呼ぶ。
  • 「究極の検索エンジンとは、ユーザーが意図した内容を正確に把握し、求めるものを返せるものをいう。」(ラリー・ページ)
  • パーソナライズされたフィルターの大半は、クリックの少ないものをふるい落とすだけで、重要なものを優先する仕組みは用意されていない。
  • グーグルの自分とフェイスブックの自分は人物像が大きく異なる。「クリックしたものがあなた」と「シェアしたものがあなた」は全く違う。
  • 過去のクリック履歴が、未来を完全に規定してしまう世界である。
  • インターネットは中央集権を破壊するものと草創期には期待されたが、ある意味、中央集権を助ける働きを持つようになってしまった。
  • グーグルが邪悪だとは思わないが、なろうと思えばなれるだけのものを持っている。
  • システムがインテリジェントになると、システムを開発した人々でさえその出力を説明できなくなる。
  • 踏み固められた道から外れるのは怖いが、新しい方面に興味関心を示せば、新しいアイデアや人、文化に出会うというパワフルな体験ができる。人として生きている実感が得られる。そのようなセレンディピティは喜びへの近道である。
  • 普段体験しない話題を提示するように、フィルタリングシステムを設計すれば、セレンディピティの問題が解決できる。

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