書評・読書ログ:人類とイノベーション:マット・リドレー

人類とイノベーション 世界は「自由」と「失敗」で進化する

マット・リドレー(著)、大田直子(訳)、ニューズピックス

表題の通り、「人類とイノベーションはどのような関係なのか?」、また「イノベーションが起こる要因は何か?」などイノベーションに関して問いています。

イノベーションがあれば、長寿と健康の明るい未来が開け、より多くの人がより充実した生活を送り、驚くような技術的偉業が成し遂げられ、地球の生態系への影響が軽減されると著者は述べていますが、私も人類の未来には、イノベーションは欠かせないものだと思います。

例えば、より多くの資源を使うことではなく、より少ないものでより多くを行うイノベーションを利用すれば、一定量のものを生産するために使われる資源の量を減らすことができ、それによって生活水準をさらに上げることは可能であるという主張には同意できます。

ただし、そのイノベーションで達成されるものが、現在のようにある一部の人たち、例えば途上国で過酷な労働条件で働く人たちの犠牲に基づくものではなく、すべての人たちに恩恵をもたらすものでなくてはならないと思います。

では、そのイノベーションはどのようにして起こるのかについて、著者によると、イノベーションは自由から生まれるといいます。つまり、イノベーションは、自由に表現された人間の願望を満足させようとする、自由で独創的な試みだからということです。

また、あらゆるテクノロジーは他のテクノロジーの組み合わせであり、あらゆるアイデアは、他のアイデアの組み合わせであるとよく言われます。

しかし、アイデアや発明を、実際に人々の役に立つ実用的で手頃な価格のイノベーションに変えるのには、多くの努力が必要であり、失敗や誤りも必要です。そのような失敗がイノベーションのカギを握る要素であり、事業の失敗に対する比較的温かい態度のあるアメリカのような社会からイノベーションがよく生まれるというのは、そのとおりだろうと思います。

繁栄はイノベーションから生まれ、イノベーションは新しいことを実験して試す自由から生まれるために、自由で規制が寛容で、判定が早くなされ、良識あるような社会が求められていると述べています。

イノベーションには、自由で何度もチャレンジが許容される社会が必要なのだろうと思います。

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