私の音楽鑑賞録:すべてのJ-POPはパクリである

すべてのJ-POPはパクリである

すべてのJ-POPはパクリである 現代ポップス論考

マキタスポーツ(著)、扶桑社

刺激的な題名の本ですが、現代のJ-POPといわれる音楽に対して著者が独自の分析をした結果を記しています。

その中で特に「ヒット曲の法則」なるものと「唯一性=オリジナリティ」について、著者の考えが披露されています。

音楽に限らず、その他の芸術や学問でもオリジナリティはよく議論になると思いますが、ほとんどの作品は、過去の何かしらの作品を参考にしたり、影響を受けたりしているという考え方は、私には理解ができます。そして、ヒットする作品には何かしらの法則というか共通点があるという主張は、音楽にも多くの日本人が好む傾向というものがあるのだなとわかります。

本書での著者の分析の中で、私自身が共感した点や気になった点を挙げてみます。

  • 現代の人々は、「ツッコミ目線」を持ちながら、「我を忘れさせてくれるもの」や「純粋無垢な印象を与えるもの」に夢中になっている。
  • これさえ覚えれば、ヒット曲っぽい感じになるというコード進行がある。
  • 上手く先人の知恵や情報を編集し、更にオリジナリティ成分を入れれば、他人に有無を言わさぬような素晴らしい作品世界ができる。
  • CDは売上が1998年をピークに下がっている傾向にあるが、1990年代のCDが売れ過ぎていただけである。
  • 音楽シーンの多様化・細分化が進み、これを聞いておけばよいといったような全員が聴いていて当たり前という音楽が成立しづらくなってきた。
  • いつしかロックやJ-POPはある種の公共性のようなものを背負いだしてしまったようで、規範に収まらない荒くれ者達の姿が消えていった。
  • 日本のアイドルはいつまでもアイドルではいられずに、アイドルを卒業していく。日本でアイドルとは「終わりを愛でる芸能」である。
  • 音楽に元ネタはあるが、それを再利用するように編集するというエディターとしての作業に、必ずそのアーティストなりのオリジナリティが含まれている。

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